【免責事項・注意事項】
本記事は薬剤師をはじめとする医療従事者を対象とした学術・実務情報です。個別の治療方針や服薬に関しては、必ず主治医またはかかりつけ薬剤師にご相談ください。
本日(2026年10月7日)開催された中央社会保険医療協議会(中医協)総会において、新医薬品11成分14品目の薬価収載が正式に了承されました。収載日は10月14日の予定です。
今回の収載では、武田薬品のナルコレプシー治療薬「オーゼイフル錠」や、GSKのB型肝炎治療薬「ヒブサーゴ皮下注」、インスメッドの気管支拡張症治療薬「ブリヌスプリ錠」など、各領域でアンメットメディカルニーズを満たす注目薬が並びました。
現場の薬剤師が知っておくべき主要新薬の一覧・作用機序・薬価算定のポイントをコンパクトにまとめました。
1. 【一覧表】本日(10月7日)薬価収載が了承された注目新薬
| 製品名(一般名) | 製造販売元 | 主な適応症 / 作用機序 | 算定方式・主な特徴 |
| オーゼイフル錠 (オベポレクストン) | 武田薬品工業 | ナルコレプシータイプ1 オレキシン2型受容体(OX2R)作動薬 | 原価計算方式 (有用性加算Ⅰ 40%、市場性加算Ⅰ 10%、先駆加算 10%) |
| ブリヌスプリ錠 (ブレンソカチブ) | インスメッド | 非嚢胞性線維症性気管支拡張症(NCFBE) ジペプチジルペプチダーゼ1(DPP1)阻害薬 | 原価計算方式 好中球セリンプロテアーゼ活性を阻害し気道炎症を抑制 |
| ヒブサーゴ皮下注 (ベピロビルセン) | グラクソ・スミスクライン | B型慢性肝炎 HBV RNA標的アンチセンス核酸(ASO)製剤 | 原価計算方式 (有用性加算Ⅰ 50%、先駆加算 10%) |
| イムルリオ錠 (エラセストラント) | メナリーニ / ステムライン | ER陽性HER2陰性 ESR1変異進行再発乳がん 経口選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD) | 外国平均価格調整(上限2倍適用) |
| リンヴォック内用液 (ウパダシチニブ) | アッヴィ | 小児のアトピー性皮膚炎等(2歳以上) 経口JAK阻害薬 | 規格間調整 小児向け液剤の追加 |
2. 現場薬剤師が押さえておくべき「注目3製剤」のポイント
① オーゼイフル錠(オベポレクストン):オレキシン作動薬のブレイクスルー
- 作用機序: ナルコレプシータイプ1はオレキシン産生神経の脱落が主因です。本剤は不足したオレキシンに代わり「オレキシン2型受容体」を直接刺激し、覚醒維持と情動脱力発作(カタプレキシー)を抑制します。
- 実務の要点: 従来の精神刺激薬(モダフィニルやメチルフェニデート等)とは全く異なるアプローチです。服薬タイミングや日中の覚醒レベルの推移、精神神経系の有害事象のモニタリングが鑑査の肝になります。
② ヒブサーゴ皮下注(ベピロビルセン):B型肝炎の機能的治癒(Functional Cure)へ
- 作用機序: HBVのmRNAおよびプレゲノムRNAを特異的に認識・分解するアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)製剤です。ウイルスの複製抑制だけでなく、HBs抗原の産生そのものを強力に低下させます。
- 実務の要点: 核酸アナログ製剤の長期内服が必要だったB型肝炎において、「投与終了後もHBs抗原陰性化が維持されるか」が注目されています。注射部位反応や肝機能値(ALTフレア等)の推移を注意深く追跡する必要があります。
③ ブリヌスプリ錠(ブレンソカチブ):気管支拡張症の難治性炎症を抑える新機序
- 作用機序: 骨髄での好中球成熟過程に関わるDPP1(カテプシンC)を阻害することで、好中球エラスターゼ(NE)などの活性化を遮断し、気道破壊と喀痰貯留を根本から抑えます。
- 実務の要点: 慢性的な呼吸器感染と急性増悪を繰り返す気管支拡張症患者の治療選択肢です。感染症徴候の早期把握や皮膚過角化などの特徴的な副作用に留意が必要です。
3. 今回の中医協総会における「薬価制度改革の論点」
今回の収載審議では、2026年度薬価制度改革に関連した以下の議論も交わされました。
- 原価計算方式と開示度問題:オーゼイフルやヒブサーゴなど革新性の高い薬剤で高い補正加算(有用性加算等)が設定されたものの、企業の原価開示度(50%未満)により加算係数がゼロとなる事態が相次ぎ、算定ルールの実効性について議論がありました。
- 承認から収載までの期間(ドラッグ・ラグ懸念):一部品目でグローバル供給体制の確保等を理由に、承認から収載まで日数を要したケースについて、新薬を迅速に患者へ届ける観点から質問が出されました。
まとめ:10月14日収載に向けた薬局・院内採用の準備を
今回の収載品目は、希少疾患から睡眠障害、肝炎、オンコロジーまで幅広い領域に渡っています。
10月14日の官報告示・収載以降、門前医療機関での採用や問い合わせが増えることが予想されます。採用薬の添付文書や適正使用ガイドを事前にチェックし、スムーズな処方鑑査と服薬指導に備えましょう。

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